2006年07月19日

「女たちは二度遊ぶ」

20060719「女たちは二度遊ぶ」.jpg

吉田 修一 著
角川書店 出版

 私は、過去を振り返るということをほとんどしません。「あのときは、どうやって対処したかな」と過去の経験を思い出そうとすることは仕事中頻繁に起こりますし、あまり経験できないような珍しい体験についてはよく人に話したりします。でも、あの頃はどうたった、ああだったといったことを一人で思い出すことはあまりありません。例外をいえば、楽しくて思わず笑ってしまうような出来事を思い出し、他人から気持ち悪がられる思い出し笑いを一人でこっそりしてしまうことです。

 自然に過去を思い出すことがないというより、心の中で後悔する、ということを恐れているから、過去を思い出さないようにしているのだと思います。変えられない過去より、変えられる可能性のある未来を考えていようと。

 だから、過去にお付き合いした方のことを思い出すこともあまりありません。たぶん、思い出さないようにしている、というのが正しいのでしょう。

 他の方たちはどうなのでしょう。正直興味があります。どれくらいの方が頻繁に過去のことを思い出すのか、聞いてみたい気もします。

 この「女たちは二度遊ぶ」は、ほとんどの話が男性自らの視点で、昔に関わりがあった女性を思い出しているように書かれています。といっても、付き合っていたというまでには至らない、通りすがりに近い女性や友達・同僚も含まれています。その昔の思い出し方が妙にリアルです。そんなことを覚えていないなんて、と思うようなことが記憶から抜け落ちていたり、妙に細かい部分が鮮明だったり。また、登場人物がどこにでも居そうな男女で、起こってもおかしくない出来事が展開されていきます。

 過去を変えたいというわけでもなく、自分の中の記憶が事実として淡々と語られる様が妙にリアルです。だから、世の男性はこんな視点で見て、こんな風に考えているのかと思ってしまうくらいです。その分、ストーリー展開のわくわく感がありません。また、1冊に11もの短編がつまっているので、ひとつひとつが短く、さらっと読めてしまいます。

 どちらかというと非日常を求めてしまう私には少し物足りない感じでした。
posted by 作楽 at 00:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(日本の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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