2006年07月28日

「デューク」

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江國 香織 著
山本容子 画
講談社 出版

 私は物心ついた頃からアレルギーで、毛のある動物を飼うという選択肢がありませんでした。体調のいいときはいいのですが、悪いときに犬や猫を触ると、目が充血して腫れ上がったり、皮膚炎が起こったり、トラブルが多いからです。

 でも、犬を飼っている友人を羨ましく思ったことは何度もあります。それは大人になってからも変わりません。私の友人は、私と同じ一人暮らしですが、チコちゃんという犬と一緒です。老犬で、ペットホテルに預けるのがかわいそうなので、彼女は泊まりでどこかに出掛けるということがありません。実家に帰るのも日帰りなのです。そういう不自由を考えても、家に帰ったときに待っていてくれるチコちゃんを見ると得難い何かを感じるのです。

 そのチコちゃんが白血病で、回復の見込みがないという検査結果が出たという連絡がありました。年老いていて、長くはないとわかっていても、やはり辛いものです。彼女もとても辛そうでした。短い人生を一緒に暮らしてきたのだから、少しでも幸せを感じてほしいと、彼女はチコちゃんの体調に合わせた暮らしをしているそうです。やはり、具合が悪いときは、そばについていてあげたいと思うそうです。

 「デューク」はデュークという犬が死んでしまったところから物語が始まります。だから、チコちゃんの最期がきたときも、私の友人は、この「デューク」の主人公のよう悲しみでいっぱいになってしまうのかと、少し辛い気持ちで読み始めました。

 でも、本の中の小さい頃のデュークは、とても生き生きとかわいいのです。目の前に居るかのように。そして、読み終わった後、とても幸せな気持ちになれました。愛し、愛されること。それは、人と人との間だけが尊いわけではないと思うのです。人と犬の間であっても同じ。ただ、その伝え方が違うだけではないのでしょうか。
posted by 作楽 at 00:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(日本の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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