2006年08月06日

「神話の心理学」

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河合 隼雄 著
大和書房 出版

 自分のものでありながら、全然わからないのが、心や頭と言われる部分。「どうして」と自分自身に問いかけても、よくわからないことのほうが多いのです。だから、最近心理学という言葉に惹かれるようになりました。本音を言うと、心理学という学問がどんな学問か正確にわかっているという自信はないのですが、なんとなく霞がかかって見えていた自分がはっきり見えてくるように思えるのです。

 そういう自分自身の傾向から手にとったこの「神話の心理学」。神話に対しても無知なので、よくわからないのです。なにしろ、父親の左の目から娘が生まれたり、男性が女性になって子供を生んだり、クマと人間が夫婦になり子供をもうけたり。なんでもありの世界なのです。そういう神話が、現代の私たちとどんな関係があるのか、と思ったりするのですが、それがこの本の不思議なところで、そうかもしれない、と思えることがあちこちに点在するのです。

 なるほど、と思ったことのひとつにアメリカ先住民のジョシュアの神話があります。コラワシと名無しの二人が世界の創造主だというお話です。コラワシは動物や人間を創ろうと一所懸命になるのですが、成功しません。一方、名無しのほうはただ煙草をすって時間を過ごすだけで家と女性を手中にし、16人の子供をもうけるのです。その子供たちが人類の始まりだというのです。

 懸命に何かを創ろうとする者が結果を出せず、ただ煙草をすっている名もない者が真の創造主になるのです。この本では、まったく新しい創造は無為(無意識)から生まれるということをこの神話の中に見ているのです。そう言われれば、コツコツとした作業からは、前代未聞の新しいものは生まれないような気がします。

 このような考察が連なっているこの本、神話について知らないけど雑学として知っておくのも悪くないという方にお勧めのちょっと視点を変えられる本でした。
posted by 作楽 at 22:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(宗教・神話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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