2006年08月16日

「輝く断片」

20060816[KagayakuDanpen].jpg

シオドア・スタージョン 著
河出書房新社 出版

 フィクションを読んでいる間、自分の視線が登場人物の誰かの視点になっていることがよくあります。自分が共感したり、感情移入したりできる誰かの視点で、話に入り込んでしまうのです。

 私にとってのフィクションの楽しみのひとつは、この登場人物から見た視線を通した疑似体験。絶対に経験できないようなファンタジーだったり、日常生活のひとコマだったり、ジャンルが違っても、人間あるいは擬人化された生き物が出てくるのですから、何か自分との共通点を持つ誰かを見つけて話の当事者になってしまうのは比較的簡単なことです。特に、現実の世界ではないとわかっているので、犯罪者の側に立つことでさえ、何のためらいもありません。

 でも、この「輝く断片」は違っていました。8編から成る短編集なのですが、私が登場人物の視線にも合わせられる話はほとんどありません。唯一「旅する巌」は次の展開、次の展開と先を急ぐ感じで読むことができましたが。

 何といっても、本のタイトルになっている「輝く断片」は主人公の異常な心理もさることながら、血液が溢れ出るさまや傷のえぐれ具合などの描写が吐き気のようなモヤモヤ感が漂っています。うまく説明できないのですが、読みながら何となく気持ち悪い感じを受けつつ読み進め、読後にねっとりした疲れがくるといった作品が多いように思います。

 この本の帯によると、週刊文春ミステリーベスト10の第3位にランクインし、2006年度版「このミステリーがすごい!」の第4位にもなっているこの小説。正直、その良さがわかりませんでした。意外性が楽しいのでしょうか。

 この小説のこういうところを読んで、こうおもしろいと思った、という意見を聞ければ、とてもうれしいです。
posted by 作楽 at 21:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック