2011年12月08日

「夜を希う」

20111208「夜を希う」.jpg

マイクル・コリータ (Michael Koryta) 著
青木 悦子 訳
東京創元社 出版

「このミステリがすごい!」1位になった「チャイルド44」を破って、LAタイムズ最優秀ミステリ大賞に輝いた作品と帯で紹介されています。この作品もぐいぐいと読者を引っ張っていく力のある作品ですが、個人的な好みでいえば、「チャイルド44」に軍配があがります。

 その理由は、テーマとして感じられる内容の違いではないかと思います。「チャイルド44」は、家族との絆を手に入れようと主人公が懸命になりますが、こちらは過去から解放されようと主人公が足掻きます。どちらも家族とのつながりがメインになっていますが、やはり何かを手に入れようとする主人公のほうに入り込みやすかったのだと思います。

 この作品では、さまざまな登場人物の視点に切り替わり、次々と本音が吐露されます。それによって、各人が抱く不安や疑問がわかりやすく伝わってきて、読んでいる側の恐怖感も高まったり、辻褄があわない点に気づかされたりします。特に、FBI捜査官グレイディは、大きな秘密を隠しもっていて、最後の最後でその秘密の場面を回想するのですが、思いもかけない真実に驚かされました。

 全体の構図が見えるまで、情報を小出しにするやり方が巧いので、主人公フランクの過去に何があったのかだけでなく、前述のグレイディが何に怯えているのかなども気になって読み進めずにはいられませんでした。ミステリ大賞を受賞したのも納得できる作品です。
posted by 作楽 at 07:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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