2006年09月27日

「老後がこわい」

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香山 リカ 著
講談社 出版

 私には、生命保険や損害保険の代理店をしている友人がいます。約10年前から数年おきに、その友人から私は保険を買っています。

 最初は、個人年金、がん保険、死亡保険、と入りました。その後、日本の年金制度の崩壊に関するニュースが大々的に流れたとき、もうひとつ保険を増やしました。高齢になっても生きている場合のみ年金が支払われるタイプのもの。もし、60歳になるまでに死ぬと払込保険料程度が戻ってくるだけで、運用益は生きている人たちだけで分配するのもです。その後さらに、医療改革(改悪?)のニュースが流れ、老人の自己負担が増えるというニュースがさかんに取り上げられるようになったとき、終身医療保険を付け加えることにしました。

 そのとき、さすがにその友人は「もうこれでいいんじゃない?」と言ったのです。彼女にとって保険を売るのは仕事。でも、一応友達だし、という思いもあったのでしょう。際限なく保険に走る私に彼女は歯止めをかけるべき、と思ったのかもしれません。そのとき、私は気付いたような気がします。私が保険が必要かどうか考えたことはないのではないでしょうか。ただ、安心を切望しているのにそれがどこにもなく、なんとなく保険がその代わりになるような気がして、不安に襲われるたび、保険に加入していたように思います。

 シングルで子供もなく、老後の備えとして必要とされる数千万円を貯める経済力もなければ終の棲家を手にする力もない。でも目の前にあるこの保険があれば何とかなるかも、と飛びついたのかもしれません。

 私は年老いた自分を考えるのが怖かったのです。そんな私の気持ちを代弁するようなタイトルを持つこの本「老後がこわい」を手に取らずにはいられませんでした。

 大学教授でもある著者の香山リカさんが書かれたこの本は、論文の書き方の模範のようなものです。色々な統計や分析結果がバランスよく盛り込まれ、説得力があります。これからの日本社会において私のようなシングル女性が家族もなくひとり老後を迎えるケースが大幅に増えることは間違いないようです。そして、そのような人々がぶつかるであろう問題をひとつひとつ取り上げ、どうすべきかを考えていきます。

 高齢独身女性が借りられる部屋が少ないという現実の前で、老後の住宅をどうするか。年金制度が崩壊し、中年を境に転職がほぼ不可能になる女性の現実の前で仕事をどうするか。夫も子供もなく、唯一の家族である親の死をどう乗り越えるか。自分が働かなければならないシングル女性の場合、親の介護をどうすべきで、自分は誰に介護されることが現実的なのか。

 考えても考えても際限ないかに見える問題が次から次へと提示され、行政や政府に期待すること、医師としての著者が行動を起こして変えられることなのが書かれています。でも最終的には「なるようにしかならない」ことを受け入れることと「人によりかかったっていいじゃないか」という考えを持つことも提言しています。

 この本一冊で不安や心配がなくなるわけではありませんが、色々な角度からデータや根拠をつきつけられ、少し考え方を変える手助けになってくれたように思います。

 香山さんは「自分の感受性くらい」の作者である茨木のり子さんの最期も紹介しています。彼女は、2006年2月19日に孤独死されたそうです。彼女は自分の死後、知人たちに自筆のあいさつ状が届くよう準備していたそうです。これを読んで、私もそういう、できる準備はしながらも「なるようにしかならない」部分を受け止めて、保険などの走るのはやめようと思いました。
posted by 作楽 at 00:30| Comment(1) | TrackBack(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Posted by がん保険・ガン保険 at 2007年11月02日 14:57
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