2012年02月07日

「『方言コスプレ』の時代」

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田中 ゆかり 著
岩波書店 出版

『方言コスプレ』って何?と、最初は疑問に思いました。でも、読み始めてすぐに、思いあたるものがありました。「ヴァーチャル日本語 役割語の謎」です。違うのは、方言に限定されている点です。そして、この方言コスプレの台頭により、「ヴァーチャル日本語 役割語の謎」で紹介されていた<ヒーロー>は<標準語>を話すという定石が崩れていくのかもしれないと思いました。

『方言コスプレ』のコスプレとは、方言の使用がイメージ重視で着脱や混在も可能であることからついたネーミングのようです。たとえば、大阪弁なら「おもしろい」や「怖い」、東北弁なら「素朴」、九州弁なら「男らしい」というそれぞれのイメージにあった場面に限定して使う(着脱可能)というのです。そのため、全然違う地方の方言がひとつの文に混在することもあれば(混在可能)、文末だけ方言を取り入れるといった使い方もあります。

 本書では、方言から抱くイメージが全国的にみてもかなり共通していることが、調査結果を根拠に示されています。(それを『方言ステレオタイプ』と呼んでいます。)そして、『方言コスプレ』の現象は首都圏を中心に増えていて、それ以外の地域にも程度の差はあれ広がっていることも示されています。首都圏で生活しているせいか、わたしもそういう現象に遭遇したことがあります。わたし自身も、倹約しなくちゃという雰囲気をだして金銭的に細かい話をするときなどは、意図的に関西弁に戻したりします。

 しかも、方言の利用場面はイメージだけで広がるものでもないようです。著者は、方言を『本方言』『ジモ方言』『ヴァーチャル方言』と三種類に分けています。『本方言』は、幼少期から日常的に使っている/いた方言です。『ヴァーチャル方言』は、方言イメージをもとに前出のようなケースで自由に使う方言です。『ジモ方言』というのは、使い慣れていない自分の地元の言葉、たとえば自分たちの世代は使わないけれど両親や祖父母世代は使うような方言を指しています。これはおもに親しさをあらわす目的で使うようです。

 方言を駆使して表現やコミュニケーションの幅を広げるという現象はたしかに一般的になりつつあるようです。でも、それに対する受容度合は地域や個人によっても違うでしょうし、自分に関わりのない地方の方言を積極的に自分が使っていくことは少ないだろうとは思いました。

posted by 作楽 at 07:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(日本語/文章) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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