2006年10月27日

「まともバカ―目は脳の出店」

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養老 孟司 著
大和書房 出版

 「老後がこわい」で、年老いた自分を考えると不安で仕方がないということを書きました。しかし、その不安をどうするかばかりに気をとられ、その不安はどこからくるのか、ということをあまり考えたことがないことに気付きました。

 今思うと、見たことがないから不安、というのは大きな要因だと思います。年老いた祖父母と同居したことも介護したこともありません。幸い両親は健在ですが、離れて暮らしているので、手に取るようにその暮らしぶりがわかるというものでもありません。

 人は誰でも歳をとり、老いて病気になり死ぬもの、と言われても、核家族化以降の世代の私にとっては、実感がないというのが正直な感想です。

 「まともバカ」の中で、養老氏はこう言っています。「皆さんは誰でもお母さんから生まれたはずで、そしていずれは全員お亡くなりになるはずです。これはある意味で日常です。しかし現代社会は、それを日常とみなさないという約束事ができています。われわれの社会は、それを日常ではなく異常であるとみなす社会です。」

 まさにその中に私も含まれます。死を異常と思うから怖いのです。そして、病気はもっと異常と思うからさらに怖いのです。それを自然と受け止められる環境がないと、やはり異常、非日常と考えてしまうようです。

 養老氏の話は、そういう考えを脳の機能と関連付け、私たちが認識する現実を説明しています。また、人間がなぜ都市をつくるのか、都市をつくるとはどういうことかを彼自身の視点から説明しています。私が今までに考えたこともない視点だったので、新鮮でした。でも、たしかにそうかもしれない、と納得する部分も多いものでした。

 ただ、この本は、もともと複数の講演会で話された内容をまとめあげたものなので、少し表現が違うだけで同じ内容が何度も出てきたり、それぞれに視点が違っていたり、少し読みづらくなっています。

 でも、養老氏の物の見方はユニークですし、自分で何かを考えるネタになっておもしろい本といえると思います。
posted by 作楽 at 00:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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