2006年11月28日

「Changeling」

20061128[Changeling].jpg

Delia Sherman 著
Viking Juvenile 出版

 「輝く断片」「取り替え子」と、取り替え子の伝説が登場する本を読み、取り替え子そのものの話を読んでみたくて、選んだのが、この「Changeling」。

 取り替え子は古くからある伝説のようです。妖精が人間の子を妖精の世界に連れてきて、その子そっくりの子を身代わりに置いてくるという話です。

 その話は、ずいぶんと突飛だと私は思うのです。どうして、人間の子供を妖精の世界に連れてこないといけないの?どうやって、その子供を決めるの?どうして、身代わりの子供が必要なの?

 伝説の生まれを想像すると、色々な疑問が湧いてくるので、その疑問の答えを想像しつつ読み始めました。

 舞台は、New York Between。アメリカのNew Yorkにありながら、妖精の世界は別世界になっていて、意識ある人間には見えません。人間は眠っている間だけ、存在できる場所なのです。そのNew York Betweenに、赤ん坊のときに人間界から連れてこられ、ここで成長したNeefという女の子が主人公です。Neefは、妖精のあらゆる種類の言語、無数のおとぎ話などを教えられ、人間を食べようとする妖精に食べられないよう保護を受けながら育ちます。

 あるとき、あることがきっかけで、Neefは冒険に出なければいけなくなります。それも、自分の身代わりとして人間界で育った女の子と。

 冒険は、聞いたこともないような妖精たちや、日本に古くから伝わるキツネや天狗なども登場し、山アリ谷アリで、引き込まれる冒険話になっています。そして、時々私がひっかかったのは、人間としてのNeefの性質。

 妖精などという人間以外の存在により、人間というものが浮き彫りになってくるのです。

 人間というのは、好奇心が旺盛でダメだ、とNeefは養母などから言われます。すぐに「どうして?」という疑問が湧き起こってくる私は、ドキッ。

 ほかにも、約束の重みも妖精の世界と人間の世界ではまったく違います。妖精の世界の約束は絶対なのです。Neefが自分の身代わりを守っていくと約束したことを、周りの妖精は咎めます。約束は、すべてを賭けて、守りぬかなければならないからです。

 また、Neefは、ある嘘をついてしまいます。何気なく嘘を言いながらも、あとで、後悔し、本当のことを打ち明けることになります。

 妖精と人間。そのコントラストと意外な共通性とが織り込まれた冒険話は、ワクワクしながらも、チクッと心に刺さるものがあります。
posted by 作楽 at 00:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書(Age:9-12) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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