2006年12月21日

「脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!?」

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池谷 裕二 著
祥伝社 出版

 もしこのまま死ぬことになったら、後悔することは何かな、と思う機会が最近ありました。子供が居ないので、とりたてて心残りはないような気がしました。もし、死ぬ時期がわかっているのなら、その前に会いたい友達が居るくらいで、「どうして私の人生はこんな風にしかならなかったのだろう」という考えは思い浮かびませんでした。

 たいして頭も良くないし、努力することより睡眠が大事だし、平々凡々とした生活が似合っている私。それを考えると、したいことを、したいときに、したいようにしてきたとまでは言いませんが、それに近かった人生にそれなりに満足しているし、幸せだと思いました。

 どこにあるかわかりませんが、私の心がそう言っていると、思っていました、この本を読むまでは。

 この本の中で、色々な実験結果など、論文の内容を噛み砕いて説明した後、著者はこう結んでいます。

 「後悔を嫌うという本能が人間にある限り、私も最期に「自分の人生は素晴らしかった」と盲目的に信じることができるのだろうと思う。そしてまた、こう信じてこそ「人生が本当に幸せなものになりえる」のだと、最近の心理実験のデータが教えてくれているようにさえ感じる。」

 この結びの言葉は、本当にそうなんだろうと納得できるものなのです。この話題に限らず、この本で扱われているトピックはすべて、高校生でも十分にわかるような平易な言葉で説明されています。しかも、その内容は、最近発表された論文にある実験結果などが根拠になっています。引用元の論文は、巻末にまとめて列挙されていて、もし興味があれば、直接それを確認することだってできるでしょう。

 その上、実験結果から断定あるいはほぼ断定できないような内容のことも、想像や推測と断った上で、著者の考えが披露されているのですが、その内容がまた面白いのです。私たちの日常にどう応用できるか、という観点が多く盛り込まれていて、興味尽きることなく、一気に読み進めることができるようになっています。

 科学は苦手という方も、自分が持っている脳のことを知っていても損はありませんし、この本の内容は"科楽"なので、読まないと損をすると思います。
posted by 作楽 at 00:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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