2013年01月18日

「夜風にゆれる想い」

20130118「夜風にゆれる想い」.jpg

ラヴィル・スペンサー (LaVyrle Spencer) 著
芹澤 恵 訳
二見書房 出版

 850ページ超の長篇です。

 時代が1879年とはいえ、外出するときは真夏であっても帽子を被り、袖で手首まできっちり覆い、ぴんと背筋を伸ばして淑女然と歩くアビゲイル・マッケンジーが主人公です。そのアビゲイルが開通したばかりの鉄道で列車強盗をはたらいたために撃たれた男に惹かれるところから恋が始まるのですから、物語は当然のように長くなりがちです。なにしろ、ガードの堅いアビゲイルが恋に身を委ねるまでに越えなければいけないハードルは数々あるのですから。

 それでもやはり"長い!"という感想は免れない作品です。細かい描写の3分の1くらいは削ってもらって、流れにある程度のテンポが生まれるようにしてもらったほうが、わたし好みになる気がします。

 ただタイトルにあるようにアビゲイルの気持ちはかなり「ゆれる」んですが、そのあたりの機微はよく描けていました。この原題は、「Hummingbird」といって、日本語では蜂鳥といわれる小さな鳥です。その鳥が、列車強盗のジェシーの眼から見たアビゲイルに頻繁に喩えられています。そして歌のハミングともかけてあります。この原題は、主人公佇まいをあらわしていて、日本語のほうは主人公の気持ちをあらわしているといったところでしょうか。タイトルひとつ決めるのも大変なのかな、と想像してしまいました。
posted by 作楽 at 00:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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