2007年02月15日

「The Switch」

20070215[TheSwitch].jpg

Anthony Horowitz 著
Walker Books Ltd 出版

 最近、英語の児童書を読むようになって、日本とアメリカやイギリスの違いを感じることがあります。といっても、私が日本語で児童書を読んでいた時代と今では、子供を取り巻く環境も違うので、一概には比べられないとわかっているのですが、やはり文化的な違いも多少はあると思ってしまいます。

 たとえば、この「The Switch」に出てくるTad Spencerという少年ですが、14歳の子供がそんなことを知ってもいいの、という事実を知ってしまうことになります。

 Tadのお父さんは、大企業も爵位も所有し、大豪邸を構えながらも、恵まれない子供たちのために活動し、秒刻みのスケジュールの中、ほんの数分ながらもTadと話そうと努める、ありえないようなスーパーお父さんとして登場します。しかし、そのお父さんには、裏の顔があったのです。それを知ってしまうTad。そして、自分自身をも客観的に見ることになってしまうTad。

 14歳の子供が主人公で、その年代の子供が読む本の設定がそれでいいの、と思ってしまいます。私が中学生だった頃、そんな身近な人が悪いことをしているという現実味のあるストーリーの話を読んだ記憶がないのです。悪人は、自分には関係のない世界の人、あるいは、おとぎ話の中の人、という設定だったように思います。もしかしたら、そういう本だけが選ばれて与えられていただけかもしれません。

 私が14歳の頃にこんな本を読んでいたら、どう受け止めていたかと考えてしまいます。他人の犠牲の上で、裕福な暮らしをしていくことは幸せなのか。人に優劣をつけ、優位に立つと人を見下す態度をとることをどう思うのか。

 私自身がそんなことを考えるようになったのは、中学生よりずっとずっとあとでした。私を日本人の代表のように考えるのは無理がありますが、子供の発達時期において、人格の形成や自己の確立を想定している時期が日本とアメリカやイギリスにおいては違うような気がします。

 最近、勝ち組や負け組という言葉が定着している日本において、大人の私でも少し考えてしまうような内容が含まれた、子供にも読んで欲しい本でした。しかも、ハラハラドキドキする展開も楽しめ、単純にエンターテイメントとしても、よくできた本だと思います。
posted by 作楽 at 00:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書(Age:9-12) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック