2013年07月17日

「チャイナタウン」

20130717「チャイナタウン」.jpg

S・J・ローザン (S.J. Rozan) 著
直良 和美 訳
東京創元社 出版

 リディア・チンというアメリカ生まれの中国系女性が主人公の探偵ものです。女探偵とくれば、タフでかっこいいところを想像してしまうのですが、リディアは、負けん気が強いものの、外見は線が細く、わたしがイメージする探偵からは少し外れています。

 しかも、リディアの相棒は、背の高い白人男性です。チャイナタウンの中国系美術館から盗まれた磁器を取り戻すという調査依頼とくれば、この相棒、ビル・スミスがさらに浮いて見えてくるのですが、実はこのふたり、微妙な関係のようです。ビルは、リディアと恋愛関係に発展したいと思っていて、リディアのほうは、申し分ない仕事上の相棒との関係が変わるリスクを恐れているようです。

 しかも舞台がニューヨークとくれば、人種問題が重くのしかかってくるのかといえば、そうでもありません。そういう文化的な問題は、直接的というより、細やかな人の描写を通じて、徐々に見えてくる感じで、後味が悪くありません。ただやはり、移民一世と二世の違いやチャイナタウン独特のルールが描かれていて、それがこの作品のベースになっています。

 そのあたりの背景が絡んできて、盗難事件が思わぬ方向に逸れていってしまうところが、この作品を面白くしています。

 このおチビさん中国系探偵とノッポの白人探偵のでこぼこコンビは、シリーズになっていて、作品によっては、視点がビルのほうに移っているそうです。機会があれば、ビル側も読んでみてもいいかなと思っています。
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