2013年07月18日

「価格の心理学 なぜ、カフェのコーヒーは「高い」と思わないのか?」

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リー・コールドウェル (Leigh Caldwell) 著
武田 玲子 訳
日本実業出版社 出版

 架空の企業を記者が取材しているという設定で、利益を最大化するための価格戦略・戦術がわかりやすく説明されています。

 自分の経験を振り返ってみて、なるほどなと思えた内容をみっつ挙げてみたいと思います。

 ひとつめは、『アンカリング効果』というものです。アンカリングというのは、船をつなぐいかりのような役割をするもので、「第一印象」の効果を利用しています。買い手は、具体的な金額に関係なく、最初に見た基準価格が指標になってしまうそうです。たとえば最初に800円の値札を見たとします。次に、350円と200円を見れば、350円をお手頃、200円を安いと感じるわけです。これが、100円のあとに、同じ350円と200円を見れば、お手頃だったはずの350円が高く見えるわけです。3:5:15や1:2:4など、中間の価格と上の価格のあいだを広く開けると効果的だそうです。コンサルティングなど、至れり尽くせりのフルパッケージを高くしておいて、他社とある程度差別化できるサービスを盛り込んだものを中間価格にして、必要最小限のものを下の価格にするなどの使い方が有効だそうです。

 ふたつめは、『価格のおとり』というものです。雰囲気としては既述の『アンカリング効果』と似ています。著者は、顧客が価格を想定しやすいものは、『アンカリング効果』より『価格のおとり』が効果的だとしています。電化製品などが該当するのではないでしょうか。2種類の選択肢しかない場合、第3の選択肢として既存の価格を上回るものの、そう価値が感じられないものを投入するというものです。そうすることにより、本来売りたいと思っている2種類の製品が魅力的に見えます。この第3の選択肢の選び方は複数あるようですが、簡単な方法としては、既存2種類の選択肢の差額の20%増しのプレミアムな製品を追加する方法です。11万円と18万円の選択肢があれば、26万4千円の商品を投入することにより、11万円と18万円の製品の価値が比較によって明確になるというのです。

 みっつめは、販売側が望む価格に顧客を誘導するという考え方とは違って、多様な選択肢を用意しておく必要性があるケースです。顧客が、あるものを購入しようと考えている場合、購入価格を決めている場合があります。その場合、選択肢が少なすぎる場合、その予算に入る製品がなければ、買ってもらえません。そのため、価値の異なる製品を複数用意しておいて、顧客が選択できるようにする必要があるといいます。

 どの程度、顧客が価格を想定できる製品かによって効果に差はあるかもしれませんが、価格戦略は重要だと思える内容でした。普段あまり読まない分野だけに新鮮でした。
posted by 作楽 at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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