2013年09月01日

「ゴーン・ガール」

20130901「ゴーン・ガール」.jpg

ギリアン フリン (Gillian Flynn) 著
中谷 友紀子 訳
小学館 出版

 結婚5年を迎えた記念日に、自宅のリビングに争った痕跡を残して、妻が失踪します。本の構成としては、妻が失踪した日以降を夫ニックが回想を交えながら語るストーリーと、ふたりが出会って以降を記したエイミーの日記が交互に登場します。

 エイミーの日記は、日記だけに赤裸々です。一方、ニックは随所に嘘をついていることを匂わせながらも、妻の失踪に狼狽えた様子をあまり見せません。一方、エイミーの日記は、嘘のように幸せだった時期を通り過ぎたあと、修復できないほどの溝がふたりのあいだにあったのではないかと思わせる内容が続きます。

 そして下巻に入った途端、物語が急展開を見せ、あとは引き摺られるように一気に読んでしまいました。恐ろしい展開だと思ったのも束の間、どろどろとした心理戦に持ち込まれ、さらに恐ろしい未来が見えてきます。

 フィクションの世界なので、正しい正しくないの区別はないのですが、正義を貫くのが難しい現実社会を前に、せめてフィクションの世界では、もう少し爽やかな読後感が欲しいなという感想を持ったと同時に、このぞっとする気味悪い感じがこの作品を読む醍醐味なのかもしれないとも思いました。個性の強い作品ではありますが、緻密な計算が感じられる作品です。
posted by 作楽 at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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