2013年12月12日

「天使の死んだ夏」

20131212「天使の死んだ夏」.jpg

モンス・カッレントフト (Mons Kallentoft) 著
久山 葉子 訳
東京創元社 出版

 女性刑事モーリン・フォシュのシリーズ第2弾です。前作「冬の生贄」では、酷寒の地が舞台になっていましたが、今回は夏です。摂氏40度近い猛暑と戦いながら、夏季休暇のため少なくなった人員でモーリンたちが追うのは、15歳くらいの女の子ばかりを狙う暴行魔です。最初の被害者は記憶を失った状態で発見され、次は遺体で発見され、その次の被害者のことを考えないわけにはいかない状況で、捜査員はみな追いつめられていきます。

 切迫した状況と異常な暑さという二重の負担のうえに、モーリンはもうひとつ重荷を背負っていました。心の拠り所である娘のトーヴェが元夫ヤンネと一緒にバリで休暇を楽しんでいるのです。スウェーデンより涼しいリゾート地バリで休暇を満喫する元夫と娘の描写が、モーリンの孤独を際立たせています。

 しかし孤独を抱えるのはモーリンだけではありません。不幸な境遇を逃れスウェーデンで移民として暮らす女性の視点、差別や偏見に晒されながらも為すすべのない少数派の視点、虐待に耐えて生き延びた女性の視点などが錯綜していて、社会のなかのコントラストが印象に残りました。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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