2014年02月06日

「老人たちの生活と推理」

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コリン・ホルト・ソーヤー (Corinne Holt Sawyer) 著
中村 有希 訳
東京創元社 出版

「おばちゃまは飛び入りスパイ」という、孫もいる世代の柔和な女性が未経験でCIAのスパイになってしまうという小説を読んだことがあり、そんな雰囲気を想像して読み始めたのですが、このシリーズの探偵役アンジェラは、全然違います。"老人ホームで暮らす可愛いおばあちゃま"というより、"現役バリバリの毒舌家"といった感じです。それじゃ、ホームでの暮らしも大変だろうにと思うほどの敵の作り方を冒頭で披露してくれます。

 しかしそこは長年続くシリーズものだけあって、アンジェラとその友人キャレドニアは魅力的に描かれています。毎日の食事以外に楽しみも刺激もないホームでの暮らしに突然降って湧いた殺人事件にワクワクし、ホームのなかのことなら警察の先を行けると張り切り、あっちを掻き回し、こっちで噂話をほじくり返し、捜査員たちの迷惑を顧みず、嬉々として犯人を捜します。

 耳も遠くなり、眼も覚束ない。そうわかっていても自分のことを"年寄り"と認めない七十代たちが、日常の何気ない変化に気がつき事件を解決したときは、読んでいるほうも思わずにんまりしてしまう作品です。

 ほろ苦い結末ですが、その結末自体が、いくつになっても"年寄りだからもう何も気にかけない"などという心境にならないことを示しているようで、年輩の方々をうまく描写している気がします。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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