2014年04月10日

「半身」

20140410「半身」.jpg

サラ・ウォーターズ (Sarah Waters) 著
中村 有希 訳
東京創元社 出版

 これはミステリ? それともロマンス? この物語の結末はどこに? そういう問いが次々に浮かんでしまう宙ぶらりんな感覚で読み進めたら、最後に意外な結末に出合うという仕組みになっています。

 19世紀後半、女性は結婚して男性の保護下に入るものと考えられていた時代に、女性を愛した女性が綴る日記と詐欺師として罰を受けることになった霊媒師が綴る日記が交互に登場します。それらの日記には意外な結末を裏付ける部分があちらこちらに埋め込まれているのですが、読み進めているあいだは、それらに気づきもしませんでした。

 意外な結末に驚かされたあと冷静に考えてみると、きわめて現実的な結末に納得させられるのですが、それでも、霊媒師が囚われている陰湿な監獄や霊媒師が執り行った交霊会や女性を愛した女性の心中など、細かな描写を読んでいるあいだは、非現実的な仮定を当然のように受け入れてしまっていたようです。それだけ描写力に優れた作品だっということでしょうか。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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