2014年06月17日

「驚くべき日本語」

20140617「驚くべき日本語」.jpg

ロジャー・パルバース (Roger Pulvers) 著
早川 敦子 訳
集英社インターナショナル 出版

 母語である英語のほか、ロシア語やポーランド語も堪能で、日本に半世紀近く住む著者が、日本語だけを使っていると気づきにくい日本語の特徴を解説しています。

 氏がこのなかで主張されている点は、大きく分けて3点あります。ひとつめは、日本人は日本語が曖昧な言語で習得が難しいと信じているが、決して曖昧な言語でもなければ、(話し言葉に限れば)習得も容易で、言語として優れているというものです。ふたつめは、宮沢賢治の作品などを挙げて、日本語の響きは美しいという主張です。みっつめは、日本語には、世界語として機能した可能性があったというものです。

 ひとつめの論点は、そのとおりだと思います。ふたつめは、氏の言わんとすることは伝わってきます。ただ、みっつめの論点は無理があると感じました。話し言葉に限っては習得が容易であり柔軟性をもつ優れた言語だから、日本語が世界語として機能することもあり得たとする因果関係は、成り立たない気がします。

 まず、世界語の定義が不明瞭ですが、世界で使われる言語は、言語特性に関係すると聞こえてしまう主張は、現実に即していないと思います。もし大日本帝国が大英帝国を凌ぐ植民地化を進めていたら、日本語が世界語になっていた可能性もゼロではないかもしれません。しかしその場合、日本語が言語として劣っていても関係なかったと考えるほうが自然だと思うのです。

 世界語云々の部分は、わたしには蛇足に見えました。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(日本語/文章) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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