2014年07月13日

「死んでいるかしら」

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柴田 元幸 著
日本経済新聞出版社 出版

 東京大学で教鞭を執り、数多の翻訳を出版し、自ら雑誌の編集をこなし、講演に立っているとあれば、パワー漲る姿を想像してしまうのですが、このエッセイ集からはそんなことは微塵も感じられません。

 肩の力を抜いて読めるエッセイです。ただ、アメリカ文学研究の大家であるだけに、あらゆるところに文学の要素が散りばめられていて、これを読む進めるほどに読んでみたい本も増えて、いつも時間に追われる身としては、嬉しいような嬉しくないような気分になりました。

 たとえば"スティーヴン・ミルハウザーの「アウグスト・エッシェンブルク」は、僕がこれまでに翻訳したすべての小説のなかでも最高の部類に属する名作であり、もし訳したなかでどれかひとつを「自分が書いたこと」にできるとしたら、たぶんこの中篇を選ぶと思う"と書かれてあります。そもそも訳した作品を自分が書いたことにできるなんてことは決して起こらないので、こういう想像は読んでいて楽しくなります。同時に、その作品を読まずにいられなくなってしまうのです。

 とても和めるイラストもあって、息抜きになるエッセイ集でした。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(エッセイ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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