2014年08月02日

「時の娘」

20140802「時の娘」.jpg

ジョセフィン・テイ (Josephine Tey) 著
小泉 喜美子 訳

ロウソクのために一シリングを」で登場したグラント警部が犯人追跡中にマンホールに落っこちる失態を演じた結果、退屈な入院生活を送ることになったところから物語は始まります。

 足の怪我で動けないグラント警部は、今回、安楽椅子(寝台)探偵という役回りでした。そして彼が手がける謎は意外にも歴史上のできごとだったので、市井の殺人事件以上に結末が気になり駆け足で終わりまで読みました。

 駆け足で読みきれたのはもちろん、謎そのものだけでなく、グラント警部や彼に代わってあちこちの文献をあたる調査員を買ってでたブレント・キャラダインという好青年の描写に読み応えがあったからです。

 とりわけ、殺人犯とされる人物とその周辺の人々の人物像を組み立てていくさまは、読み応えがありました。伝聞を排除し、客観的な事実だけからその人となりを組み立てていき、数々の歴史書の記述と比較していくのです。あまり経験したことのない楽しいプロセスでした。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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