2014年08月29日

「永久に刻まれて」

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S・J・ローザン (S.J. Rozan) 著
長良 和美 訳
東京創元社 出版

新生の街」や「どこよりも冷たいところ」と同じ探偵シリーズの短篇集です。短篇集でこのシリーズを読むのは2冊目ですが、以前に読んだ「夜の試写会」のほうがわたしの好みにあっていました。こちらは、(米国では出版されず)日本向けに編集されたそうです。

 以下が収められています。

−永久に刻まれて
−千客万来の店
−舟を刻む
−少年の日
−かけがえのない存在
−チン・ヨンユン乗り出す

−春の月見

「春の月見」は、リディアとビルの探偵シリーズとは関係のない短篇で、「チン・ヨンユン乗り出す」は、リディアの母親が探偵役を務めるという変り種です。

 娘のリディアが、結婚が遠のきそうな探偵という仕事をしていることにいつも苛立っている母親が「チン・ヨンユン乗り出す」では、何かと娘の言葉を引用しています。娘のプロフェッショナルな仕事を認めていない振りをしつつも、娘の活躍を内心では認めているあたり、読んでいるとほのぼのとあたたい気持ちになりました。

 リディアやビルが登場する作品のなかでは、「かけがえのない存在」が、印象に残った作品です。かけがえのない存在であろうとすることの虚しさを感じつつも、その気持ちに共感する部分もあって、読んだあとに考えこんでしまいました。
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