2014年09月30日

「頭の悪い日本語」

20140930「頭の悪い日本語」.jpg

小谷野 敦
新潮社 出版

 できることなら正しい日本語を使いたいという気持ちから、日本語の誤用をとりあげる本を時々読んでいます。ただこの本は、書かれてある内容を鵜呑みにせずに、自分で調べてみたり、考えてみたりするきっかけとして受け止めたほうがいいような気がしました。

 ご本人の好き嫌いによって、よくない(正しくない)言葉だと指摘しているだけあって、首を傾げたくなる点が複数ありました。

 たとえば、以下です。

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日本では1980年代から「バーチャルリアリティ」などという言葉が用いられて、これが「仮想現実」などと訳されたため、「ヴァーチャル」が「仮想の」という意味だと思われるに至っているが、「ヴァーチャル(virtual)は「実質的な」という意味なので、この訳語は、英語の原語が持っているニュアンスと、それが使われた背景を消してしまう、不適切なものである。
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 これで全部です。「virtual reality」はどう訳されるべき言葉なのかという提案はありません。指摘をするだけで、代替案を出せない著者だということは仕方がないとしても、間違っているとする部分の把握が不適切だと思います。

「virtual reality」というふたつの単語が「仮想現実」という四文字の言葉になったから、前半の「virtual」を「仮想」という意味だと理解するのが、間違っているだけで、「virtual reality」を「仮想現実」と呼ぶことが間違っているようには思えません。現実そのものではないけれども、現実と受けとってしまうほどのものに「仮想現実」という呼び名を与えたことが、不適切と決めつけるのは、どうなんでしょうか。

 これに類することが他にもあるため、注意が必要だと思います。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(日本語/文章) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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