2015年01月25日

「The Kitchen God's Wife」

20150125「The Kitchen God's Wife」.jpg

Amy Tan 著
Ivy Books 出版

 タイトルにあるキッチンの神様というのは、中国の神様です。中国の神様社会には、会社のような上下関係があるようです。このキッチンの神様は結構下っ端で、日々人間の行動を観察し、1年に1度上司にあたる神様に、どの人間の行いが良いか、どの人間の行いが悪いかを報告する仕組みです。人間の立場からすれば、その報告次第で授けられる幸運が変わってくるわけですから、キッチンの神様にお供えをしないわけにはいきません。

 そんな立場のキッチンの神様は、もともと人間でした。働き者の妻のおかげで豊かな暮らしをしていたのをいいことに、愛人を家にひきいれ、その愛人が妻を追い出してしまっても、愛人と遊び呆けているような夫でした。

 そしてこの夫に尽くしながらも報われることのなかった妻がこの本のタイトルになっています。この物語の象徴のような存在だからでしょう。

 キッチンの神様の妻は、世の理不尽さの象徴でもあり、運命に翻弄される人生の象徴でもあり、強さと弱さが共存するという矛盾の象徴でもあるのでしょう。

 そう考えると、キッチンの神様の妻は、惨めとしかいいようがない感じがしますが、本当にそうなんでしょうか。逆に、キッチンの神様は、遊び呆けたうえに、幸運を得ようとする人々からお供えを受けて、楽しいのでしょうか。

 文化や時代も含めて、幸福や幸運のものさしについて、考えさせられました。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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