2015年02月18日

「ストーナー」

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ジョン・ウィリアムズ (John Williams) 著
東江 一紀 訳
作品社 出版

 読み終わるまえから、またいつか読み返したくなるに違いないと感じる本です。

 貧しい農家に生まれたウィリアム・ストーナーが思わぬきっかけで大学進学を果たし、文学との出会いをきっかけに農家の道を捨て、大学社会で生きた人生が描かれています。

 同じ世代を生きた人々に比べて(おそらく)格別華やかなわけでも悲惨なわけでもなく、取り立てて何もない人生と言い切ってしまっても差し支えない人生です。それでも、その人生に起こった偶然の出会いや選択、日常的に見受けられる人と人の小競りあいや不協和音、心も身体も慣れ親しんだ安らぎや熱情、それらがどれも細やかに描かれているがゆえに、読んでいるわたしの人生のどこかに重なってくるように感じられます。

 それをどう評価するのかは、個々人の問題で、意見は分かれそうな気がします。事実、この作品はアメリカで出版されて久しく埋もれていました。それが発表から半世紀近く経ってのちフランスで高く評価され、世界中で読まれるようになったそうです。

 ウィリアム・ストーナーは、脚光を浴びるような成功を収めなかったかもしれません。でも、苦しい状況を受け入れるときも、何かを手放すときも、それを誰かのせいにしたことはありません。人生の終わりを迎えるときであっても。その気高さをわたしの人生にも迎えいれたいと思いました。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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