2015年03月13日

「日本語相談 二」

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大野 晋/丸谷 才一/大岡 信/井上 ひさし 著
朝日新聞社 出版

 わたしが日本語関連の書籍を好んで読むのを知った方が譲ってくださった本なので、少し出版年が古く、いまは絶版になっているようです。

「週刊朝日」に寄せられた読者の質問に答えるかたちの連載コラムがまとめられたものです。回答陣が豪華メンバーですが、わたしはとりわけ丸谷氏の答えが好きです。

 句読点の使い方を問う読者にこう答えています。『わたしの好みで言へば、句読点なしでもすらすら読める文章に、ところどころ、筆者の親切として句読点がついてゐる、といふ感じの書き方が好きです。句読点に頼りすぎた文章は、面倒くさくて性に合ひません。』

 そもそも句読点に悩む読者が『句読点なしでもすらすら読める文章』を得手とするのか怪しいので、回答の名を借りた随筆のような内容です。

 また大岡氏の切り返しには、唸ってしまいました。『日一日』の読みを問う読者に次の句を紹介しています。

 梅一輪一輪ほどの暖かさ

『日一日』の読みとして『ヒヒトヒ』と『ヒイチニチ』があるように、この句にも二つの解釈があるというのです。

(1) 梅が一輪、また一輪と開くごとに、しだいに暖かさが増してゆく。春がやってきた。

(2) 梅が一輪だけ咲いた。その可憐な一輪にふさわしいほどの暖かさはたしかに感じられる。でも今はまだ冬だ。

 わからないという気持ちを二義性を愉しむ気持ちに変えてくれる切り返しです。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(日本語/文章) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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