2015年03月14日

「罪の段階」

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リチャード・ノース・パタースン (Richard North Patterson) 著
東江 一紀 訳
新潮社 出版

 ホテルの一室で女性が男性を射殺した事件を扱う法廷ものです。女性はレイプされそうになったうえでの正当防衛を主張しますが、検察は謀殺で訴追しようとします。そう書くと、検察側と弁護側の攻防にハラハラする作品のように見えますが、それで終わる作品ではありません。

 邪悪な人間に関わってしまった途端、人と人が同じ権利を有するということはどういうことか、人が人を裁くということはどういうことか、そういう途方もない問題が突きつけられ逃れられなくなる恐怖を見せつける作品です。

 そのいっぽうで、法のもとに正義を行なうという大義名分の陰で個人の尊厳が踏みにじられるのを良しとせず、最善の道を模索しようとする法律関係者の姿も描かれていて、救いがあります。

 法律に携わる作家が書いただけに、読み終わってすべてが明らかになったあとも公正に裁く難しさをあれこれ考えさせられました。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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