2015年07月23日

「翻訳者の仕事部屋」

20150723「翻訳者の仕事部屋」.jpg

深町 眞理子 著
筑摩書房 出版

 ミステリーを数多く翻訳されている著者だけに、アガサ・クリスティーやアーサー・コナン・ドイルなどの作品に対して、表面的に読んでいるわたしなどにはわからないことが指摘されてあり、楽しめました。たとえば、食事がまずいといわれるイングランドのロンドンに居を構えるシャーロック・ホームズですが、意外にも食にこだわりがあり、しかも作品には食事や食べ物の描写が結構あるそうです。4つの長篇と56の短篇で198カ所、一作平均3.3カ所もあるとか。コカインやモルヒネのような薬物しか印象に残っていませんでしたが、実際はかなりの料理が登場していて、その一部は詳細も紹介されています。意外でした。

 あと翻訳に関していえば、「フィネガンズ・ウェイク」や「不思議の国のアリス」をとりあげ、柳瀬尚紀の翻訳を賞賛されていました。実は、「フィネガンズ・ウェイク」は、以前読もうとしたときは、その面白みがまったく理解できず、すぐ放り出してしまったのですが、「ジョイスが『フィネガンズ・ウェイク』においてなそうとしたのは、みずからの造語−−ジョイス語ーーによって、意味の飽和状態をつくりだすこだったが、同時にまた、彼は音の復権をも意図していた。事実、これの翻訳にとりかかろうとしていたイタリア人のもとをわざわざ訪ねて、意味よりも音を大事にしてほしいと頼んでいる」という柳瀬氏の解説を読んで、いつかまた挑戦してみてもいいかなという気になりました。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(エッセイ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック