2015年07月27日

「犬の力」

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ドン・ウィンズロウ (Don Winslow) 著
東江 一紀 訳
角川書店 出版

 ニール・ケアリーを主人公とする探偵シリーズ(「砂漠で溺れるわけにはいかない」等)と同じ著者なのですが、趣がまったく異なります。深刻な状況をユーモアというオブラートに包むこともなく、息を詰めて成り行きを窺ってしまうような犯罪社会を描いています。主人公であるアート・ケラーは、麻薬を取り締まる捜査官として、狡猾かつ非情に麻薬や武器を商売にするバレーラ一家に戦いを挑みます。バレーラ一党は、政治家や警察官を抱きこんで思うままに操り、そして逃げ延び、双方にとってのひとつの結末を迎えるまでに三十年を要します。

 それだけのことを成すために、アートは部下を喪い、家族のもとを去り、孤独に耐えます。そしてその源となった力をこの作品では「犬の力」と呼んでいます。スケールの大きな作品ですし、アートやバレーラと関わりになったばかりに人生の歯車が狂った登場人物も数多く、それぞれが読み応えある描写なのですが、やはり息を詰めて読んでしまうので、ぐったりとしてしまいました。まさしく本を読んでいるあいだは別世界に行くことができる作品です。
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