2015年08月29日

「感じのよい英語 感じのよい日本語」

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水谷 信子 著
くろしお出版 出版

 タイトルを見てもピンときませんが、おもしろい着眼点の本です。日本人が話す英語が存外英語話者から見て失礼と受け取られていることを知ったり、逆に英語話者が話す日本語が感服できても好感がもてなかった自身の経験をもとに、良い印象を与えるかどうかの観点から、日英それぞれの傾向を比較したものです。

 わたしは、普段なにげなく英語話者にならっていることに気づけました。この「なにげなく」というのが曲者で、きちんと理解してコミュニケーションをとっているわけではないので、日本語で話しているときも、そういう傾向になっていることに驚きました。具体的には、

1. あいづちなどを挟まず、相手の言い分が終わるまで待つ
 日本語では、頻繁にあいづちをうったり、相手のことばを引きとって会話を続けたりします。こういう会話の共同作業を著者は「寄り添い」の意識の現れと解釈しています。いっぽう、英語話者は、自分の話しに割り込まれたように感じ、自分の言わんとすることが「尊重」されていないように受けとります。言われてみると、英語と日本語を行ったり来たりするときは、日本語で話していても、明らかに自分のあいづちが減っていることに気づきました。

2. 相手がどうだったかという視点で褒める
 たとえば学生が先生の授業が良かったと思った場合、日本語話者は、目上の仕事をどうこう言うのではなく、自分にとって参考になったなどと自分にひきよせて謝意を述べるが、英語話者は、あなたの何々が良かったと褒めるとありました。そもそもこの褒めるという行為自体、英語話者は日本語話者に比べて頻繁にしている点も違いがあります。わたしもその頻度において、英語話者に傾きつつあるのかもしれないと思いました。

3. 断られることを潔く受けとめる
 日本語話者は、相手に何かお願いするときに、ためらいがちに始め、忙しいなどの相手の事情を理解していることなどを伝えたあとで、おずおずと依頼することが多いかと思いますが、これは英語話者にとっては稚拙に見えるようで、その説明が以下のようになされています。
 Because it shows that the speaker is honest and above board, trying to hide nothing, and is open for a direct refusal. (なぜかというと、話し手は正直で公明正大で、何事も隠そうとせず、きっぱりと拒絶されてもいいという覚悟を持っているということを、示すからです。)
 このことに通じるものがあるのですが、英語話者は、都合が悪いとき、言い方に配慮するもののきちんとノーと伝える姿勢があるので、依頼する側も相手の負担ばかりに眼を向けず、依頼できる傾向がにあるのかもしれません。

 ボリュームとしてはわずか100ページ強ですが、思い当たる部分があって楽しめました。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(英語/翻訳) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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