2015年08月30日

「料理長(シェフ)殿 ご用心」

20150830「料理長(シェフ)殿 ご用心」.jpg

ナン&アイヴァン・ライアンズ (Nan and Ivan Lyons) 著
中村 能三 訳
角川書店 出版

 シュールでいながら、コミカルな作品です。早くから犯人はわかっていて、犯行動機も伏線からわかっていると思っていたのですが、最後に驚きの動機が明かされます。そのちょっとした驚きが楽しめました。

 連続殺人なのですが、狙われるのは一流のシェフばかり。そこでタイトルのシェフ殿への注意喚起になるわけです。皮肉なことに、殺人などというむごい所業に対する非難より、殺された誰々よりもっと狙われるべき腕のいい料理人は他にいるだろうという非難のほうが大きくなったりします。さらにコミカルな雰囲気を生んでいるのが、本当に狙われている料理人を心配している人物(料理人の元夫)が、狙われるようなシェフたちとは対極にある安くて一定の品質を維持した料理を提供するレストランを任されている点です。

 豪華、かつ、こだわりのかたまりといっていい料理のレシピが次々と登場しても、それを羨ましく思ういっぽう、ちょっぴり揶揄したくもなる流れです。加えて、狙われている料理人とその元夫の掛け合いがおもしろく、日本ではこの手のドライでコミカルなミステリにあまり人気がないようで、見かける機会が少ないことを少し残念に思うほどでした。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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