2015年08月31日

「カリフォルニアの炎」

20150831「カリフォルニアの炎」.jpg

ドン・ウィンズロウ (Don Winslow) 著
東江 一紀 訳
角川書店 出版

 タイトルにある炎が、とても象徴的な存在に見えました。炎は、燃えひろがるための条件を備えた方向へと進み、途中にあるものすべてを取り込みながらも足るということを知りません。燃えるための条件が欠けてはじめて絶えます。

 欲望をもつ人間がいるところへと触手を伸ばし、それらを取り込みつつ、役立たずとなれば灰となって吐きだす大きな組織に取り込まれた人々と正義を盾に取り込まれまいと踏ん張る人々が描かれています。欲望を探しあて取り込むさまも、正義という盾が意外にも脆いところも、リアリティに溢れています。もちろん勧善懲悪などという綺麗ごとでは終わりません。不正に取り込まれても悪になりきれなかったり、正しいことを曲げられないと思っていても大切な人のために例外をつくってしまうあたりが、共感をもてました。
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