2016年01月14日

「もうひとりのタイピスト」

20160114「もうひとりのタイピスト」.jpg

スーザン・リンデル (Suzanne Rindell) 著
吉澤 康子 訳
東京創元社 出版

 1924年のニューヨーク。禁酒法の取り締まりで忙しくなった警察署にオダリーというタイピストが補充されてからのことをローズという先輩タイピストの視点で描かれた作品です。

 恵まれた境遇にあるとは決していえないローズが、女性が職に就くのが珍しい時代に健気に働き自立していたのに、オダリーの出現によって破滅へと向かいつつあるのではないかという良からぬ予感が忍び寄ってくる描写が続くいっぽう、ローズがオダリーと過ごすおしゃれで贅沢で女の子らしい時間はスリルと危険に満ちていて、ローズが心惹かれてその世界に浸ってしまう心情が、巧みに描かれています。

 ただ、ローズが結末に迎える破滅は、女の子が夢想する冒険物語ではなく、現実に起こった事件として扱われた場合、稚拙なからくりに見えてしまいます。結末まで読者をはらはらさせ続けることには成功していると思いますが、読者を驚かせると同時に「そうだったのか!」と納得させるだけのプロットにはなっていない気がします。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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