2016年01月15日

「水晶玉は嘘をつく?」

20160115「水晶玉は嘘をつく?」.png

アラン・ブラッドリー (Alan Bradley) 著
古賀 弥生 訳
東京創元社 出版

 化学大好き少女フレーヴィア・ド・ルースが活躍するシリーズのひとつです。第2作「人形遣いと絞首台」の次にあたる今作を逃し、第4作「サンタクロースは雪のなか」を読んでいたので、第6作「不思議なキジのサンドウィッチ」の前に読んでみました。

 このフレーヴィア・シリーズはもう4作も読んでいるので、わたしのなかのフレーヴィアのイメージは、かなり固まっています。そのなかでも、一番印象に残っているのは、親子らしい親子関係を知らないという点です。母親は、フレーヴィアが物心つく前に亡くなり、父親はその喪失感から抜け出せないのか、趣味の切手の世界に逃げこんでいる様子です。

 しかし今作でフレーヴィアは、父親と秘密を共有し、無言の関係ながらも親子らしい絆を感じさせて終わります。それは、密やかでありながら心温まるものでした。そういった子どもが見る狭い世界の濃密な関係が細やかに描かれていることと、11歳の女の子らしさとおとな顔負けのパンチが効いた皮肉が同居するフレーヴィアの内なるセリフが、このシリーズの良さだと思います。

 ただ、11歳の女の子が探偵役なので、犯人究明の点からは少し物足りないのも、シリーズのほかの作品と変わりません。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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