2016年12月22日

「対岸の彼女」

20161222「対岸の彼女」.png
角田 光代 著
文藝春秋 出版

 第132回(平成16年度)下半期の直木賞受賞作品です。

 30代半ばの女性、小夜子の視点で物語は進みます。3歳のひとり娘を育てる専業主婦だった小夜子が、娘を保育園に預けて働きはじめ、仕事を通じて出会った人々との交流から、自分を見つめなおすという内容です。

 タイトルである「対岸の彼女」というのは、自分と同じ大学を卒業した同い年の会社経営者を指しています。夫も子供もいない対岸の彼女は、自由を手にして勝手きままに生きているように見え、自分の仕事を見下す夫や口うるさい姑の言葉に傷つき涙する自分とのあいだには、大きな川が立ちはだかっているように見えます。

 帯には、『だけどあたしたち、どこへいこうとしてたんだろう。』とあります。小夜子が、いくつかの経験を経て自分がいこうとしていたところを見つけて選んだ道は、前向きで建設的です。周囲の人たちのように、もっと楽な道を選ぶこともできたことを考えると、好感のもてる選択でした。そう思ったのは、わたし自身も、自分がどこへ行って何をしたいのかわからずに過ごしているからかもしれません。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(日本の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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