2007年06月15日

「Silver City (Silver Sequence)」

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Cliff McNish 著
Orion Children's Books 出版

 ファンタジーの分野というのは、少し苦手です。ありえない状況を楽しめないというか、人間ではないよくわからない存在の心理についていけないというか、めまぐるしく次々と起こる変化の羅列というイメージを持ってしまっているというか、うまく説明できないのですが、苦手意識を持っているのです。

 でも、この「Silver City」は楽しめました。

 現実的ではないのですが、その状況が手にとるようにわかる描写があり、それぞれの場面を直接見ているような気になれます。

 また、主要な登場人物は子供なのですが、子供ということを忘れてしまうくらい、洞察力、直感力、包容力などが鋭く豊かなのです。その描写も、つい共感してしまうくらい精微なものです。

 話の展開がうまくできている点も見逃せません。

 舞台は、Coldharbourと呼ばれる場所で、Roarという宇宙からの侵略者に備えて、バリアに守られています。ここに、地球上のありとあらゆる子供が集まってきます。しかし、彼らに同行する大人はバリアの中に入ることはできません。そして、そのバリアの中を守るのは、Miloです。Miloは元々少年だったのですが、今は姿を変え、Coldharbourを覆い尽くす大きさになり、空中を漂いながら、子供たちを守っています。

 特別な力を持っているのはMiloだけではありません。人の心の中を読む力を持った少女。人をまったく違う形態に変える力を持った少年。水に負けず、海底深くまで潜り続けることができる双子の少女たち。未来を予測し、離れた場所で起こったことも見透かせる少女。

 それぞれの個性がぶつかり合いながら、対立する存在たちに立ち向かっていく道のりが細かく描写されています。迷い、決断、不安、そして信頼。つい、それぞれの立場にのめり込んでしまいます。

 中でも私が強く惹きつけられてしまったのは、Tanniの最後の決断です。過ちに対する受け止め方、過去を悔やむことよりも前を向いていく姿勢、グループを率いるリーダーシップ。私にはないもの、強さ、を持っていることに魅力があります。

 子供が主人公の子供向けの物語とは思えないほど、葛藤がうまく表現されていると思います。

 これだけの作品なら、と思ってAmazonで調べたところ、「シルバーチャイルド〈2〉怪物ロアの襲来」というタイトルで日本語訳が出ていました。

 実は、この本は紹介文を読んで衝動的に読みたくなった本なので、シリーズの中の1冊かどうか調べていなかったのです。「シルバーチャイルド〈2〉」とあるので、2冊目だと気づきました。この本の上のほうに小さく「BOOK TWO OF THE SILVER SEQUENCE」とあります。あまりに小さくて今まで気づきませんでした。でもおもしろかったので、今からでも、1冊目も読んでみたいと思います。
posted by 作楽 at 01:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書(Young Adult) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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