2017年05月01日

「ブラウン神父の知恵」

20170501「ブラウン神父の知恵」.png

G・K・チェスタトン (G. K. Chesterton) 著
中村 保男 訳
東京創元社 出版

 読み継がれてきた作品を、古めかしい訳から新しい訳にあらため、出版するのが新訳版で、そういった版の場合、初めて読んだ古い作家の作品でも、昔の作品を敢えて翻訳しなおそうとしただけのことはあると納得できる魅力を感じることが多いのですが、この作品は、それに当てはまりませんでした。

 主人公であるブラウン神父が、小柄で風采のあがらない第一印象とは裏腹に、観察力や推理力にすぐれ、誰もが見過ごすような細かなことから論理的に事実を積みあげ、あっという間に謎を解いてみせるというギャップは、面白く感じられました。また、先入観や周囲の人々の意見にとらわれ、ものごとを公平に客観的に見ていない点を指摘する展開に意外性も感じられました。

 ただ、全体を流れる冷笑的なトーンがわたしの好みではありませんでした。また巻末の巽昌章氏による解説で「古代趣味、綿々たる因縁ばなし、奇怪な呪い」と形容されている怪奇趣味的要素も、わたしは苦手なので、読みすすめるのに苦労しました。

 以下の12篇の短篇が収められています。こうして12もの意外な展開が用意されていることを考えると、好みにあわなかったとはいえ、中身の濃い1冊ではあると思います。

ーグラス氏の失踪
ー泥棒天国
ーイルシュ博士の決闘
ー通路の人影
ー機械のあやまち
ーシーザーの頭
ー紫の鬘
ーペンドラゴン一族の滅亡
ー銅鑼の神
ークレイ大佐のサラダ
ージョン・ブルノワの珍犯罪
ーブラウン神父のお伽噺
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック