2017年06月09日

「お笑い」日本語革命

20170609「『お笑い』日本語革命」.png

松本 修 著
新潮社 出版

全国アホ・バカ分布考―はるかなる言葉の旅路」の著者です。新しいながらも日本語としてすっかり定着したことば、あるいは一般的には使われなくなった時期を経て再び頻繁に使われるようになったことばなどのうち、漫才や落語といった芸能がきっかけで広まったことばを検証していく内容です。革命というと少々大袈裟ですが、ことばの歴史とお笑いが密接に関係してきたことは確かなようです。

 検証されたことばは、以下です。

(1) どんくさい
(2) マジ
(3) みたいな。
(4) キレる
(5) おかん

 著者は、ことばに対する探究心だけでなく、朝日放送勤務という、過去の放送資料の閲覧や芸能人を相手にしたフィールドワークが実施しやすい立場も持ちあわせていて、芸能が日本語に与えてきた影響を掘りさげて検証するのに適任だと思いました。説得力ある構成で鋭い分析が披露されています。

 唸ってしまったのは、地域や世代による認識のずれに対する指摘や、最近の若者ことばと捉えられていることばが年配の知識人たちにも受け入れられているという例証です。

 いちばん驚いたのは、あの丸谷才一が(3)の『みたいな。』を使って対談した内容です。

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丸谷才一 そうそう、吉行・円地文子・小田島雄志で。
和田誠  三人に迎えられるんですよ。
丸谷才一 そう。あれは何だか、いじめられに出ていくみたいだったな(笑)。敵がすごいんだよね。あの三人、八岐大蛇みたいな(笑)。
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 いちばん意外だったのは、(5)の『おかん』 が、つい最近使われるようになった新しいことばではなく、時代とともに変化し、『おとん』というペアがあらわれた興味深いことばだったことです。

 読み応えのある本で、楽しい時間を過ごせました。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(日本語/文章) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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