2017年07月15日

「忘れられた花園」

20170715「忘れられた花園」.png

ケイト・モートン (Kate Morton) 著
青木 純子 訳
東京創元社 出版

 ひとりの年配女性が亡くなり、同居する孫娘が謎めいた遺言を受け取って、それまでその存在を知らされていなかったコテージを相続したところから、物語が始まります。被相続人であるネルは、相続人のカサンドラと一緒にオーストラリアでアンティークショップを経営していたのですが、相続物件のコテージは、イングランドのコーンウォールにありました。コテージの存在を知らされていなかったのはなぜか、なぜイングランドに不動産を所有しているのか、そういった疑問のほか、祖母の知らなかった一面を知る機会を得たこともあり、カサンドラは、祖母の過去を辿ります。

 カサンドラが祖母の過去を辿ると同時に、祖母自身が自らの過去を辿った経緯と、実際に過去で起こったできごとが少しずつ明らかにされるのですが、その謎の散りばめ方と明かし方が巧みで、引きこまれました。家族の過去を探る旅というのは、わたしには退屈に感じられることが多いテーマですが、この作品では、ミステリ同様、伏線が緻密に張られ回収されている効果で、眼が離せなくなりました。(読み終えてみると、あまりに無駄なく登場人物が絡み合いすぎているうえ、ミステリと違って登場人物が辿りつかなかった過去の事実も描写されているせいで、ミステリの謎解きにある到達したという感覚は感じられませんでした。)

 ボリュームのある作品で、執拗な執着を見せる人たちが次々と登場し、ややうんざりするものの、意外な展開が続いたおかげで、飽きることはありませんでした。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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