2018年03月19日

「逆転の英文法」

20180319「逆転の英文法」.png

伊藤 笏康 著
NHK出版 出版

 いまさらですが、この本で英語の時制の使い分けが学べた気がします。ひとつは、現在完了形と過去形の使い分けです。わたしが仕事で関わっているコンピュータソフトに含まれるもの、たとえばオンラインヘルプなどでは、英語の原文で、現在完了形が頻出しますが、日本語に訳すときは過去形にすることがほとんどです。そうすると自然な文章になるのが理由ですが、その理屈は理解できていませんでした。

 著者の説明によると、英語母語話者は、動作や行動に「開始」「中間過程」「完成」「その後の状態」の 4 段階があると考えているそうです。このうち、完了形があらわしているのは「その後の状態」です。

 たとえば、100 のステップから成る仕事をコンピューターが処理すると仮定します。処理を「開始」したあと、順次ステップ処理を進めたものの、あるステップ(「中間過程」) で エラーが発生したとします。ただ、その次以降のステップも順調に進み、処理が最後まで終わった (「完成」した) とき、エラーが 1 個あったとコンピューターがユーザーに知らせるのに使われるのは、英語では基本的に完了形、日本語では基本的に過去形です。

 著者の説明によると、英語母語話者は、「動作・行動がすでに終わった」と聞くと、「それじゃもう『その後の状態』が始まっているのだな」と考えるそうです。つまり「行動が終わっている」ことで大切なのは、「すでに行動が存在しない」ことではなく、行動によって生み出された「現在の状態」がどうなっているかということです。つまり、たとえひとつのステップであってもエラーが発生したことによって、現在もその影響を受けている限り、完了形を使うということです。

 著者が説明するこの 4 段階は、過去形と過去進行形の使い分けにも応用できます。「開始」「中間過程」「完成」のすべてを見たときは過去形を使えます。しかし、「中間過程」のどこかを見ただけであれば、過去進行形になります。

1. May made the cake this morning.
メイは今朝、そのケーキを作った
2. May was making the cake this morning.
メイは今朝、そのケーキを作っていた

 1.と 2.では話し手が見た時間的範囲が違うということは、この本を読むまで考えたこともありませんでした。基本的なことだけに、いまさらでも知ることができて良かったと思います。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | 和書(英語/翻訳) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]