2018年10月29日

「虚像の道化師」

20181029「虚像の道化師」.png

東野 圭吾 著
文藝春秋 出版

浪花少年探偵団」のようなミステリ短篇集ですが、こちらはコミカルな雰囲気はありません。

 これを原作とするテレビドラマをたまたま見て、物理学の准教授が書いた難しい数式が原作でどう描かれているのか気になって読んだのですが、もとの小説には、そういった込み入った描写がなく、准教授もドラマほどエキセントリックなキャラクターとしても描かれていません。

 平均 70 ページほどの短篇でトリックを披露するとなれば、人物描写は端折らなければならないという事情はあるものの、やはりドラマでは、脚本家が頑張って話を膨らませ、キャラクターを際立たせているのでしょう。

 収められているのは、以下の 4 篇です。

- 幻惑す (まどわす)
- 心聴る (きこえる)
- 偽装う (よそおう)
- 演技る (えんじる)

「演技る (えんじる)」は、うまうまとミスリードされたものの、動機の面で少し無理が感じられましたが、演技を生業とする俳優という職業での独特の価値観と考えることもできるかもしれません。全体としては、物理学の准教授が思いやりを見せて、ハッピーエンドとなった「偽装う (よそおう)」が一番わたしの好みに合いました。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | 和書(日本の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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