2018年11月22日

「覚えていない」

20181122「覚えていない」.jpg

佐野 洋子 著
新潮社 出版

「100 万回生きたねこ」を描いた著者が絵の話題に触れていて、それには強く頷いてしまいました。

 ひとつは、ナイーヴ・アートです。この本で、『ナイーヴ・アート』ということばを知ったのですが、こう書かれています。

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 私は美術学校行って、遠近法なんかもデッサンなんかも習って、構成なんかも理屈をこねたりしたので、きっと生意気になっちゃっていると思う。そして、どっかのおばあさんが描いた遠近法なんかなくてデッサンなんかも知らなくて、ただ描きたいから描いているのよという絵を見ると、ぎくっとして、胸の真中ニコニコしながら、すごく反省してしまい、本当に絵が好きというもとのもとのところにぐいーっと引き戻されて、本当は絵を描くことは嬉しくて楽しくてやめられないものなのだと思って、オロオロもするのである。
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 これを読んで思わず、損保ジャパン日本興亜美術館に行ったとき、グランマ・モーゼスを見て訳もわからず楽しくなってしまった感覚を思い出しました。

 もうひとつは、著者に向かって、自分は絵を描くために勉強をしていると自慢げに「六十年代のポルシェっていうとコーンナに資料買ってくるんだよ」といった沢野ひとしのことです。

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サワノヒトシがコーンナいっぱいの資料見てポルシェ描くと、ボタモチみたいなポルシェを描く。そんんで横にポルシェなんて字書く。コーンナ資料をコーンナに見ても、全然ポルシェに見えない事は恐しい。見えるのはサワノヒトシだけである。
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「うまいこというなあ」と唸ってしまう表現です。

posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | 和書(エッセイ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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