2019年04月24日

「世界悪女大全」

20190424「世界悪女大全」.png

桐生 操 著
文藝春秋 出版

 古今東西の悪女がこれでもかというくらい大勢登場します。読んでいると感覚が麻痺しないかと怖くなるほどです。(ただし誰でも知っている有名人は例外です。彼女たちはそのネームバリューで登場しただけで、悪女度合いとしてはかわいいものです。)ただ、膨大な数が収録されているので、ひとつひとつが記憶に残るほどではないのが救いです。

 それでも例外はあります。我が子を見殺しにするどころではなく、自らの計画で自ら手を下して我が子を殺めた女には、ことばがありませんでした。それは、のちに則天武后と呼ばれた女の話です。唐の太宗の后だった彼女は、いったん尼になったあと次の皇帝、高宗に還俗させられ寵愛を受けました。ただ高宗に后がいたので、彼女は皇后を陥れる策を練ります。子のない皇后が我が子を訪ねたとき殺したかのように見せかけるため、自ら我が子を殺したのです。そのあとも皇后を罠にかけ続け、とうとう皇后は廃位に追いやられます。

 次は、則天武后のような凄惨な逸話に比べると滑稽に見える詐欺の話です。仕掛けたのは 19 世紀のフランスにいたテレーズ・ドリニャックという女です。彼女は、大金持ちの遺産相続人のひとりだという嘘を吹聴し、ほかの相続人と法廷で相続財産を争っているかのように見せかけます。法律的に決着がつけば彼女のものになるとされる財産を担保に周囲の人々は金を貸し、高価なものを売り、彼女は 20 年以上ものあいだ、贅沢を享受しました。そしてとうとう最後に嘘が暴かれ 5 年の禁固刑を受けたそうです。20 年も騙したほうも騙したほうですが、騙されたほうも騙されたほうという気がしないでもありません。

 この手の悪事満載の本は、わたしには 1 冊で十分かもしれません。
posted by 作楽 at 21:00| Comment(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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