2019年06月28日

「二度と戻らぬ」

20190628「二度と戻らぬ」.png

森巣 博 著
幻冬舎 出版

 かつての学生運動で罪を犯したこの本の主人公、森山道は、その過ち以来世間に背を向けて暮らし、博打で生計を立てています。わたしは、博打の世界をまったく知らないので、物語のなかで語られていることがどの程度現実社会に当てはまるのかもわからないまま好奇心に駆られて読み進めたのですが、読み終えての感想としては可もなく不可もなくといったところでしょうか。

 主人公の博打がひとつのストーリーで、もうひとつは 30 年前の主人公の過ちに関わる清算です。前者は、楽しめました。確率論で博打を見るおもしろさを味わえましたし、控除率 (馬券を 1000 円買うと、そのうちの 250 円分は天引きされるといったギャンブル参加者に戻らない部分の割合) の存在がわかっていてギャンブルに溺れてしまう流れもいくらか理解できました。

 後者のストーリーのほうは、読後感がよくありませんでした。理由は、わたしの価値観にあると思います。何がなんでも、つまり暴力に訴えてでも自分たちの手で変えたいという意思をもった学生たちの運動をリアルタイムに見なかったことも影響しているのかもしれませんが、わたしは暴力で手に入れたものに価値を見出せませんし、いくら暴力に訴えた解決を語られても、こじつけにしか聞こえません。

 独りよがりな主人公に共感できなかったことが作品への評価につながったと思います。
posted by 作楽 at 21:00| Comment(0) | 和書(日本の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]