2019年11月27日

「日本語はおもしろい」

20191127「日本語はおもしろい」.png

柴田 武 著
岩波書店 出版

 印象に残った話題のひとつが、アクセントの変化です。具体的には、頭高アクセントだったことばに新たに平板アクセントが加わる現象を指しています。その際、ふたつのアクセントの間に意味の違いが見られる場合と意味の違いが見られない場合がありますが、両者とも、平板アクセントのほうが『新しい』『若々しい』『都会的な』『仲間うちの』言い方だという印象を与えます。

 前者の例に『パンツ』があります。頭の『パ』にアクセントがあるほうが昔からあることばで下着を指し、平板アクセントのパンツは、ズボンのことを指しています。このように、アクセントの位置で意味が異なるようになったことばは他に、パーティー、チーム、ゲームなどが挙げられています。後者の例には、データ、レベル、ゴール、サーファー、タックル、ショッピング、バッテリーなどがあります。

 平板化は具体名詞から始まっていて、抽象的な概念を示す名詞には影響があらわれにくいと考えられています。平板化の理由はふたつあって、ひとつは多数派に組み入れられていく傾向があることです。日本語から外来語を引いた在来語に限れば、47.3% が平板アクセント (「日本語発音アクセント辞典改訂版」(日本放送出版協会、1985 年) の 53,000 語から得た数字) なので、頭高アクセントが多数派である平板アクセントに変化しているという考えです。もうひとつは、新しい、若々しいといったイメージが求められて使われているという考えです。

 頷いてしまったもうひとつの話題は、清少納言の枕草子の冒頭の文。『春はあけぼの』。この文のあとには『いとをかし。』が省略されていると学校の教科書などでは言われています。しかし著者は、その意見に異を唱えています。「桃尻語訳 枕草子」で枕草子を現代語にされた橋本治氏の意見を引用しています。
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まず、一番最初のあまりにも有名な冒頭 [春は曙] であります。[春は曙] ただこれだけ。それがいいんだとも悪いんだともなんだとも、彼女は言っていない。普通ここを現代語に訳す時は [春は曙 (がよい)] という風に言葉をこっそりと補って訳しますが、本書ではそういうことはしません。いいとも悪いとも何ともいっていないそこを押さえて、 [春って曙よ!] これであります。これだけしか言ってないんだからこれだけが正しい。
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 わたしもこちらの解釈のほうが落ち着きます。
posted by 作楽 at 21:00| Comment(0) | 和書(日本語/文章) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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