2007年10月17日

「ボルベール」

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ペドロ・アルモドバル 著
佐野晶 訳

 見たい映画だと思いながらも見逃してしまったので、原作を読んでみました。

 映画のシーンがカラーで挿し込まれているので、華やかさが少し加えられている感じがしますが、全体として薄くて地味な印象が勝ってます。

 薄いというのは、本のボリュームとして薄いということもありますが、なんとなくほかでも読んだような出来事が連なっている気がして、新鮮味や独自性が薄くも感じられます。

 主人公のライムンダは、母を愛し、母に甘えたいと願いながらも、母には打ち明けられない秘密を抱え、絶縁状態になっています。しかし、あることをきっかけに母との仲を取り戻そうとし、それが帰郷を意味する「ボルベール」というタイトルと結びついています。

 帯には「スペインの女 三代記 射るような強い瞳で女たちは、今日を生きる。」とあります。たしかに、母、娘、孫とみなそれぞれに強いのですが、「その強さをもっとほかのことに活かすべきなんじゃないかなぁ。そんなくだらない男たちに関わりあっているなんて考えられない」と思ってしまい、主役格には感情移入できませんでした。とはいいながらも、何か不思議に惹きつけられるものがあって、先へ先へとひっぱられてしまいます。それはたぶん、登場人物それぞれの強い個性が魅力になっているのではないでしょうか。個性的なのは、ライムンダだけではありません。ライムンダの姉のソーレ、ライムンダとソーレの幼なじみのアグスティナも独特なキャラクターで描かれています。私にとっては可笑しかったり、素敵に思えたり、惹きつけられるものがあります。

 特に、人の気性という面において、スペインという土地の雰囲気を感じられる本だと思います。
posted by 作楽 at 00:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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