2007年10月22日

「The Magician's Nephew (Chronicles of Narnia, Book 1)」

20071022[TheMagiciansNephew].jpg

C. S. Lewis 著
Harpercollins Childrens Books 出版

 ある翻訳家の方がこういう話されているのを聞いたことがあります。

 英米文学の根底にあるのは聖書で、その聖書の一部のどの面をどう変えてストーリーにするか、何を付け加えてストーリーにするかを作家たちは考えているに違いない。それくらい、英語で書かれている本と聖書との関係は密接で、聖書を理解していることは、作品の背景を知ることにとても役立つ。ひいては、日本語に訳すときにも役立つ。

 たしかに、英米諸国における宗教の役割は大きく、文学作品にも影響を与えていても当然だと納得しました。

 その話を思い出したのは、この本の中に聖書からきたものだと思う場面がかなりあったからです。でも、聖書の教えを伝えるというかたちをとっているわけではありません。この本は「ナルニア国ものがたり」というような名前で日本語にも翻訳されています。宗教、特にキリスト教やユダヤ教と馴染みの薄い日本の土壌からか、宗教色が強い小説が翻訳されるケースは稀です。ビジネス面からいうと、そういう本は売れないのだと思います。そう考えると、客観的に見ても、この本は宗教の色が特別濃いわけではないと思います。

 この本は、タイトル通り、Narniaという国のChronicles(年代記)です。第1巻は、Narniaの誕生の巻です。Narniaは、私たちのいる世界とは別のところにあり、この本の表紙になっているリングを使って行くことができる場所とうい設定です。その誕生は、聖書に語られている創世記を思い起こさせる部分がかなりあります。

 Narniaと名付けたのは、Aslanという光り輝くライオンです。不思議な力を持ち、Narniaを支配しようとした魔女から守り、人間の男とその妻を王と王女に定めます。その王や王女を含め、人間たちはAdamの息子あるいはEveの娘と呼ばれます。またAslanは、すべての動物からつがいを選び出し、王と王女に代々、それらの動物を守るよう伝えます。そのあたりは、ノアの方舟を思い出させます。また、Narniaを最初に訪れた人間はDigoryという少年とPollyという少女です。(本のタイトルにある魔法使いの甥はDigoryです。)そのDigoryはAslanから遠くまで旅をして木の実を取ってくるよう言われます。その木の実は銀のりんごでした。Digoryがりんごを手にした途端、意地悪い魔女が現われ、そのりんごをAslanに持っていくのではなく、病気の母親に持っていけば彼女の病気が治るとそそのかされます。エデンの園を思い出させます。

 Digoryという少年は向こう見ずで失敗をしたりもするのですが、人のことを思う優しい気持ちももちあわせていて、物語にひきこまれてしまいます。児童書なので、勧善懲悪の傾向が強いのですが、そういうシンプルさも含めて、楽しめたので、次の巻も読んでみます。
posted by 作楽 at 00:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書(Age:9-12) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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