2007年11月27日

「蛇にピアス」

20071127[HebiniPias].jpg

金原 ひとみ 著
集英社 出版

 第27回すばる文学賞と第130回芥川賞をダブルで受賞している作品ということで、期待して読んだのですが、私にとっては期待はずれでした。

 村上龍氏による解説には、こんな説明がありました。
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わたしは、少年時代の生傷のようなヒリヒリした作品をいつも書きたいと思ってきたし、今もそう思っている。自分と外部の境界を際立たせるような子どものころの擦り傷、作品全体からそういう切実さが立ち上ってくるような小説を書きたいと思っている。だがそれでも十代の終わりや二十代にしか書けない小説というものはある。『蛇にピアス』はまさにそのような小説だった。
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 文体は滑らかな感じで、今の10代の子たちをある意味リアルに描出していると思います。吸い込まれるように読んでしまう文章なのです。たしかに、20歳前後でなければ、ここまで自然に描くことはできないと納得してしまいます。

 それでも、私の中でいい作品といえないのは、主人公であるルイという女の子の死というものに対する抵抗感の希薄さ、生に対する執着のなさが、人を描いているように見えないからではないかと思います。

 蛇のように先端が分かれた舌、スプリットタンにするなどの身体改造やタトゥー。アブノーマルなセックス。そういうことはまだ、なんとなくではあっても、人の好奇心や欲求としてわかる気がします。でも、生や死に対する思いが希薄になり、モノのように流されて時間を送る人を描いて、それは人を描いたことになるのか疑問に思ってしまうのです。もちろん、村上氏の解説にある「子どものころの擦り傷」の感じは、私には伝わってきませんでした。

 19歳でこの作品を出したという作家の話題性は高いと思いますが、この作品がここまで高い評価を受けたのは私には理解できませんでした。
posted by 作楽 at 00:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(日本の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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