2008年01月21日

「まるで無神経な英語」

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ディビッド・A・セイン/窪嶋 優子 著
河出書房新社 出版

 「使ってはいけない英語」と同じシリーズです。「使ってはいけない英語」をあまり肯定的に受け取れなかったわりには、こちらも読んでしまいました。実は、一緒に入手したので、読まないのももったいないかな、くらいの感覚で読んだというのが正直なところです。

 やはり私個人の評価としては、微妙です。読んで損というつもりはまったくありません。でも、こう、うまくことばにできないのですが、チクチクと刺さる何かがあるのです。私が日本人の典型だというつもりもありませんし、私が感じることと同じことをすべての日本人が感じるとも、まったく思っていませんが、なんとなく日本人に対して、無神経な印象を与えがちな感じがする本です。

 私の神経を逆なでするのは何かを考えてみました。今の私の印象をもとに考えると、言語と文化の境に対する考えが違うからではないか、という気がします。私は、言語は言語。文化は文化。分かれた別のものだと受け止めています。私の場合、英語を流暢に使いこなせるようになりたいとは思うけれども、私の中にある価値観をアメリカやイギリスやオーストラリアの文化に無理に合わせる必要はまったくない、と考えているのです。そうはいっても、何のために英語を流暢に使いたいかといえば、日本語を話さないけど、英語を話す人たちと充分に意思疎通したいからなのです。意思疎通するにはやはり、背景の文化を知っているに越したことはないので、色々知りたいとは思っています。たとえば、アメリカなどでは弱点に目を向けるより、強みに目を向けてそこを伸ばそうという傾向があるので、こういう英語表現を使えば、こういう風な後ろ向きな印象を与えて頑張ろうという意思を見せられません。だから、こういう表現に変えて、日本語であらわそうとしている頑張る気持ちをあらわしましょう。そういう提案は大歓迎です。でも、こういう表現だと上品ではないので、こういう表現にしましょう。と何度も何度も書かれているのを見ると、なんとなく日本人の考え方が下品だといわれているようで、いい気がしませんでした。意識過剰かもしれませんが、英語圏の人が受け取るイメージはこうですよ、という表現にとどめておいてもらえたら、きっと抵抗なく読めたと思います。。

 具体的には、Challengeということばがあります。今は弱い分野だけれども、今後強化していこうということに、よく使われているのを聞きます。

 私が関係しているプロジェクトでも、ちゃんとすべきことなのに、なかなか期日や品質を守れないことがあります。品質にうるさい文化の中で育っていると、それくらい基礎中の基礎でしょ、と内心思ってしまう内容です。たぶん、日本語なら「反省点」というようなことばを使うと思います。でも、英語では「Challenge」です。反省点を和英辞書でひいても、Challengeという候補にいきつくのはなかなか難しいと思います。そういう点を伝えようとしているこの本の着眼点はすごくいいと思います。

 この本には、以下のような例が載っています。

 I'm not good at writing English. (英語を書くのが苦手です)
を以下のように表現を変えます。
 Writing English is challenging for me. (英語を書くことは私には挑戦ですね)

 表現を変えても、その人自身の英語を書く力が変わるわけではありません。でも、敢えて文化的に受け入れられにくい道を選ぶ必要もないと思います。

 「使ってはいけない英語」と違って、文法的にも正しいし、意味もきちんと通じるけれど、こういう表現に変えたほうが、円滑なコミュニケーションになりやすいという表現が集められている点では高く評価できます。

 欲をいえば、文化は双方に違いがあるだけであって、上下があるものではない、という意図が1冊の本を通して伝わるようにしたほうが良かったように思います。また、できれば、リファレンスとして使えるように、もう少し工夫されているとより価値があったと思います。

posted by 作楽 at 00:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(英語/翻訳) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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