2008年02月25日

「カラマーゾフの兄弟1」

20080225[KaramazofunoKyodai1].jpg

ドストエフスキー 著
亀山 郁夫 訳
光文社 出版

 遠い昔、学生の頃に読もうとして、挫折した本だと思います。読みやすい文体の新訳が出版され、売れに売れているという噂をきいたのと、読む側の私も歳をとっているから今度こそは読めるかも、と思い読み始めてみました。

 たしかに、すいすい読める文体です。重厚感がなくて寂しいという意見もきっとあるのでしょうが、古典にあまり馴染みのない私にとっては悪くないことです。

 タイトルの「カラマーゾフの兄弟」ですが、無責任を絵に描いたような女好きのフョードル・パーヴロヴィチ・カラマーゾフの息子たちを指しています。フョードルは2度結婚し、最初の結婚で、ドミートリー(愛称:ミーチャ)をもうけ、次の結婚で、イワンとアレクセイ(愛称:アリョーシャ)が産まれます。どちらの結婚も、女目当てで結婚しただけで家庭をもつ気などさらさらなかったフョードルは、妻が逃げたり、死んだりしたあと、子どもがいることさえ忘れ、養育を放棄してしまいます。子どもたちはそれぞれ、母方の親戚などに育てられるのですが、成人したあるとき、3人してフョードルの家で顔をあわす機会がやってきます。ドミートリーが28歳、イワンが24歳、アレクセイが20歳になろうかという時期でした。

 物語はこうして、3人の兄弟が揃ったところで始まるのですが、実は、もう1人フョードルの非嫡出子と思われるスメルジャコフという男が登場します。年齢は24、5歳で、下男としてフョードルの家で働いています。

 そして、この本はアレクセイの伝記ということになっています。

 しかし、読み進めれば、読み進めるほど、登場人物はどれもけたはずれに個性的で、時代や土地がもつ特徴が吹き飛んでしまうほどです。しかも、宗教や人間の欲望など、論議をよびそうなことがらが満載です。

 宗教に関していえば、アレクセイは修行僧なので、修道院を舞台とする場面が数多く出てきます。

 また、人間の欲望に関していえば、ひとつは、愛欲。フョードルとドミートリーはひとりの女を取り合っています。もうひとつは、金銭欲。ドミートリーはフョードルから金を巻き上げようと必死です。一方、子どもの養育費を負担しようともしなかったフョードルは、守銭奴です。

 あまりにも多くのことが盛りだくさんなので書ききれませんが、それぞれの破天荒な発言、振る舞いが現代の価値観も国の文化の違いも超越していて、先を読みたくなってしまいます。
posted by 作楽 at 00:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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